二式大型飛行艇 一二型

・ハセガワ(1/72)

 スケールアヴィエーション Vol.145(2022年5月号)に掲載された記事のおまけ画像です。
 ここでは誌面に掲載されていない製作途中の画像を中心に紹介します。

・AFVでは一般的ですが、飛行機雑誌ではあまり見たことのないカットモデルにしてみました。
 機体全体でひとつのストーリーを表現するのではなく、各部屋ごとにフィギュアに演技をさせて、その部屋がどのような機能を持っているのか分かるようにしました。
 主翼は、内部を見せる部分がないのと、顔を近づけて機体内部を見るときにじゃまになるので、思い切って取っ払いました。
・コンセプトは「ドリフの長屋コント」です。(笑)
 ほとんどが自作となったため1部屋1部屋の工作量が多く、途中であまり寄り道をしたわけでもないのに、結局2年半もかかってしまいました。

● 機体の製作  
  ・内側の押し出しピン跡を埋めるという、普通の製作では必要のない作業からスタートしました。
  ・表面はペンでカット部分を検討して、少し小さめの開口部から始め、中身を作りながら見え方を確認して開口部を広げていきました。
  ・本来の内側の梁のモールドを基準点にしながら、0.3プラ棒で周囲に梁を追加しました。
  ・この作業のおかげで、壁や床に隠れて見えなくなる主翼直下のV字型の大黒柱の構造がよくわかり勉強になりました。
● 機体前部(上層)の製作
 ・透明パーツであるキャノピーは表裏両面から塗装。内側の窓枠などの梁もプラ棒で追加
 ・操縦席のスロットルなどはエデュアルドのエッチング。実機はアメリカで改造されて形状が変わってしまっているので、本来の形で再現しました。
 ・操縦席の座席はエデュアルドのエッチングを組み立てたもの。キットパーツと比べても情報量が全然違って効果バツグンです。
 ・機長は二種略帽に地上勤務服の少佐。襟の記章を描くのが大変でした。
  操縦士は大尉、副操縦士は中尉の記章を左袖に描きました。また副操縦士は海苔巻きを食べています。
 ・無線機のフレームはキットパーツだと太いので、同じものを0.5ミリ径のプラ棒で作り直しました。無線機、機関士の計器盤はエデュアルドの塗装済エッチングを使用
 ・このあたりはドドンと大きな画像で見せびらかします。(笑)
 ・機内の机上の小物は、プラ材で自作したり、双眼鏡はプライザーのドイツ軍から流用しました。タバコは「誉」のパッケージをネットで見ながら描きました。
   
   
● 機体中央部の製作
 ・20ミリ機関砲はエデュアルドのレジン製。キットパーツもよかったのですが、より繊細なこちらを使いました。エッチングの照門が良い出来です。
  キットのフィギュアの腕の形状では、しっかり銃を握れていないので、腕はエポパテで改造しました。また、作業中に破損しないように、銃身は0.3ミリ真鍮線でアトハメ式にしておきました。
 ・上部電動銃座は一番資料がなく、探しに探して学徒動員で銃座をつくった方々の同窓会報に掲載されていたイラストを見つけて参考にしました。
  また、キットのフレームは狭くてフィギュアが正面を向いて入らないので、黄色い線の部分を広げて改造しました。
 ・下層は、前方に燃料タンク室に入る出入口がありますが、後方は壁になっています。
  実機写真集をよく見ると、下層後端の天井にハッチがあり、壁面のくぼみは足をかけるステップだと分かりました。
  側面機銃手の画像の足元に、下層から上がってくる整備員の手がみえます。(赤い囲みが心霊写真のようで…お分かり頂けるだろうか…)
   
   
● 機体後部の製作
 ・後部銃座はプラ板で作り直し、薄くシャープな感じが出るようにしました。フィギュアを乗せると、非常に狭い空間だったことがわかります。
 ・後部無線室は実機では備品が失われており、前方無線室から想像して作りました。無線機の操作板は計器のデカールなどを切り貼りして自作しました。 
 ・トイレは…一番作ってみたかった場所です。(笑)
 
   
● 機体中央部(下層)の製作  
 ・中央部には3つの燃料タンク室があり、それぞれの部屋は中央部が通路で左右にタンクが合計で6ケあります。(あとは主翼内)
  実機では床の半円形の架台だけが残っている状態なので、いろいろなイラストなどを参考に、想像で形を決めました。また、天井の構造材も再現しています。
 ・上層中央部の主翼のすぐ後ろは配管などがあります。主翼をつけると見えにくくなってしまいますが、一応再現してあります。
   
● 機体前部(下層)の製作
 ・先端風防は内側の構造材も再現しました。
 ・フィギュアは他のものと同じで、顔は素晴らしい造形ですが、ちゃんと銃を構える腕の形状になっていないので、エポパテで改造しました。
  この機銃もまた、他と同様、銃身部は真鍮線で差し込みを作って作業終了まではずしておきました。
  また、飛行帽もあごでちゃんと留めて、操縦席との差をつけました。
   
● 主翼エンジンの製作
 ・主翼は内側のエンジン部分を残して先端は極薄の模型用ノコギリでばっさりカットしました。
 ・エッチングは折り紙のように折って組み立てます。こういうパーツはいつも説明書は簡単そうに書いてあって困ります。(笑)
 ・二式飛行艇といえばこのエンジン整備用ステップですが、ここにフィギュアが乗った作例は見たことがなかったので、どうしてもやってみたかった事のひとつです。
  整備兵は腰に日本手ぬぐいをぶら下げてみました。 顔は眉毛を描いたら精悍な顔つきになって、戦後の二枚目映画俳優みたいになりました。
  左手に持つスパナはちょうどいい物が手元になかったので、プラ板で自作しました。
 ・エンジンはエデュアルドのレジン製をプラ棒などでディティールアップ。エンジンカウルをくりぬいて排気管も作り直しました。
● 機体外装の製作  
 ・機体先端のもやい綱は、金属製ワイヤーに交換しました。
 ・機体上部の編隊灯は透明ランナーを使ってレンズ部を再現。機首のカンザシも横棒をリセットして長くしました。
  また、このカンザシとセットになっている窓の基準線も入れました。
 ・排気管周囲の汚しや、塗装のハゲの再現は控えめにしました。
   
  ・ この状態くらいのときには、いったいいつになったら完成するのかと思っていました。
    コツコツ作っていたら最後には完成するものですね。
    今回は大満足、お腹いっぱいの作品に仕上がりました。

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